積ん読が増えてゆく

先々週の金曜日、久しぶりに本屋さんに行った。外出自粛が叫ばれる前から行く機会は減っていたので、ひょっとすると、年単位で久しぶりかもしれない。通販や電子書籍に頼りきりで、実店舗まで足を運ぶことがなくなっていたのだ。

では、その日はなぜわざわざ本屋さんまで行ったのか。理由は簡単。僕の好きな声優さんが出版社のフェアのイメージキャラクターに選ばれ、対象のコミックスを買うとノベルティがもらえるからだった。要はその特典目当てである。

店につき対象商品を見つけてレジに向かったのだけど、その日はやたらと混み合っており*1、レジ前にはものすごい行列ができていた。いや、”レジ前”というか、レジをゴールにぐるっと店の壁一周分くらいの列になっていた。店の広さはそれほどでもないんだけど、それにしたって長蛇の列だ。

とはいえ商品を買うにはその列に並ぶしかないので、おとなしく並ぶ。普段こういうときはスマホで時間をつぶすんだけど、その日は久しぶりの本屋さんということもあって、周囲の本棚を眺めることにした。

壁沿いに天井までの本棚が設置されていて、その本棚に沿って列は伸びている。列は少しずつ進み、そのたびに新しい本が目に入る。通販や電子書籍だけで本を購入していては目に触れる機会もなかっただろう本たちと次々出会う感覚に、なんだか懐かしく、嬉しくなった。

気がつくと、ただ本棚を眺めるだけではなく、どれを買おうか考えている自分がいた。世の中には魅力的な本が多い。とはいえあれもこれもと買うわけにはいかないので、直感を信じつつ、数は絞る。給付金の十万円はとうに消えてしまっているので、それほどお金に余裕はない。

雑誌、大判本、旅行ガイド、文庫本と、それぞれの本棚の前を通り過ぎレジにたどり着く頃には、何冊か本が増えていた。コミックス一冊なら手持ちの鞄に入ったんだけど、あいにく入りそうもない。有料になったレジ袋をあわせて買った。

あれから約二週間が経ったけど、最初から買う予定だったコミックス以外は全く読めていない。まあでも僕と本との付き合い方ってもともとそんなものだったような気もする。

たぶん今後も通販サイトや電子書籍を相変わらず便利に利用するとは思うけど、また本屋さんにも足を運ぶようにしたいな。そのときは、財布の紐をちょっとだけ緩めながら。

*1:考えてみると普段を知らないので平均的にそうなのかもしれない